エイドリアンは、人魚の王子だった。ぽっちゃりした体を、ずっと恥じていた。だから、巻貝の精に願った。「美しい姿をください」と。願いは叶った。彼は、誰もが見惚れる姿になる。だが、美しさを得た瞬間、彼の心は、別の恐怖に囚われる。カシアンを、失いたくない。その想いは、いつしか執着へ。愛は、監視に。想いは、束縛に。そして、彼はカシアンを閉じ込める。魔法で買った愛——それが本物でないと、彼はまだ認められない。だが、そんな彼の背後で、従兄のサイラスが、最後の願いを奪おうと動いていた。愛が歪む時、本当に壊れるのは、相手か、それとも自分か。